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CSR/SDGs推進 2019/10/17

環境・CSR報告書がマンネリ化してきたら~報告書のバックキャスティング~

気づけば今年も・・・


環境・CSR報告書は、その年次の環境・CSR取り組みの集大成。
毎年、制作当初は「今年度版こんなテーマを取り入れたい。大きく刷新してみたい」と意気込むものの、日々の業務に忙殺され、気付けば昨年と変わり映えしない内容になっていませんか?

1990年代後半からはじまった環境報告書の発行。25年以上の月日を経た今、進化を遂げる報告書と、報告内容がほぼ変わらない報告書の二極化が多分に進んでいるように思います。

なぜマンネリ化してしまうのか?と、その弊害
マンネリ化してしまうその状況、お察しします。
環境・CSR関連の部署は、企業の規模に比較して驚くほど少人数精鋭部隊で、関連法規制対応や社内の委員会等の開催、拠点の関連データ管理など、カバーしなくてはならない範囲が本当に広く、報告書の制作は膨大な業務の一部にすぎません。
新しい取組みを提案すれば「なぜそれが必要なのか」の説明も必要で、もう首がまわらない。一方、昨年の踏襲であれば決裁も通りやすいですし、同じフォーマットで文章表現を少し変えるだけで済めば楽ですよね。

でも日々の活動を改善して継続し、新たな試みも取り入れられているはずなのに、報告書の内容が毎年同じなのは本当に、もったいないです。
何より、透明性の確保という観点から、ステークホルダーは良い印象をもたないでしょう。

真にマンネリを打破するために
レイアウトや表紙デザインを変えれば、確かに見た目は変わります。しかしそんな小手先では遠からず限界がやってきますし、ご担当者として少し後ろめたくはないですか?
御社の新たな試みや改善点を拾い上げて、報告書に落とし込む。そんなサポートはもちろんですが、私どもが提案したいのは、もっと確実なステップアップです。

いま環境報告書を発行しているなら、「社会性」を加えて「環境・社会報告書」へ

いま環境・社会報告書なら「ガバナンス」をプラスして「CSR報告書」へ

いまCSR報告書なら、長期目標を加えてサステナビリティーレポートへ

さらに財務情報と統合させて統合報告書へ

 

この階段を1ステップ上がるためには、これまで開示したことのない情報の開示を含むため、かなりの労力を必要とします。報告書全体の構成がかわり、これまで接触したことのない部署に取組みがあるかどうか打診し、原稿を書いてもらうことも必要になるでしょう。
しかし思い切ってトライしてみると、これまで埋もれていた、評価に十分値する取組みが発掘されるケースが多々あります。(もちろん関連する実際の活動が存在しなければステップアップすることはできませんし、私どももステップアップをおすすめはしません。)

報告書のバックキャスティングをしてみよう
概念としては古いのですが「バックキャスティング」という考え方があります。
将来のあるべき姿(ビジョン)をたて、それを実現されるために施策を講じるという思考で、地球温暖化対策の一環としてCO2排出量の削減目標を立てる際などに使われるものですね。

これを報告書にあてはめてみると、現状報告できることから報告していくのがフォアキャスティング。それに対して、2030年、2050年の中長期でどんな報告書を発行したいのか、理想の姿をまず描くのがバックキャスティングです。
例えば現在は環境報告書を発行しているけれども、中期経営計画と連動しながら2030年には統合報告書を発行したい。そのためにどのタイミングで社会性、ガバナンス、財務情報などを取り入れていくのか。
それをある程度絵にすると、必要な取組みも自ずと明らかになってきます。私どもは国際動向や他社の発行状況もふまえつつ、御社にとって最適なステップをご提案させていただきます。

繰り返しになりますが、環境・CSR報告書のステップアップには、上長や経営層の説得、他部署をいかに巻き込むか、ガイドライン参照、はたまた活動からブラッシュアップなど、様々なハードルがあり時間もかかります。
しかし真にステップアップしてステークホルダーへの説明責任をより果たしたいというお気持ちが少しでもあるのであれば、少しずつ準備を始めませんか?

上層から何も言われない間はよいのですが、急に「来年から統合報告書を発行できないか」といった打診がおりてきて慌てるケースが多々あります。まずは情報収集から、そして「ステップアップ」することが決まれば、私どもが全力で伴走させていただきます。

 

※11月13日(水)の当社主催のセミナー「SDGsとCSR・統合レポート―価値を生むレポートとは?―」では、統合/サステナビリティ/CSR報告書の発行企業数の動向について、また報告書をステップアップするためにどのような情報を開示すればよいのかお伝えします。

ぜひご参加ください。

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Writer 研究員 城山裕美