News/Columns News/Columns ニュース・コラム

環境経営支援 2025/01/31

【参加報告】プリント基板向け「デジタル製品パスポート」のワークショップ協定策定キックオフミーティング

1月20日、CEN(欧州標準化委員会)とCENELEC(欧州電気標準化委員会)による「プリント基板向けデジタル製品パスポート」ワークショップのキックオフミーティングが開催されました。

当社でも、デジタル製品パスポート(DPP:Digital Product Passport)の最新情報収集に加え、ルール策定に関与できる機会を求めてこのミーティングに参加しました。(日本からの参加者は当社だけでした。)

DPPの運用開始に向けた動き

DPPとは、製品のライフサイクルに沿ったトレーサビリティを確保するために様々な情報が記録されたデジタル証明です。製品に添付したQRコードなどから、材料、部品、製品の説明やリサイクル含有量、懸念物質、環境フットプリント(EF)など環境影響に関する情報を含め、多様な情報を読み取れるようにします。

これは、意思決定のために必要な透明性の提供、サーキュラーエコノミーへの移行、公平な市場の創造を目指すことを目的としたEUの施策の一部であり、バッテリー分野が先行しています。

しかし、対象はバッテリーのみにとどまりません。EUのESPR(エコデザイン規則)の対象となる製品は原則全てDPPの対象となり、食品や医薬品等を除いたあらゆる製品がDPPに対応する必要が出てきます。そのため、現在さまざまな製品についてルールづくりが進められています。

ワークショップの目的

このワークショップは5回開催され、プリント基板用のDPPに組み込むデータのタイプを定義していきます。具体的には、プリント基板のDPPをどのように構成すべきか、また電子機器で循環型アプローチを実際に許可および適用するためにどのような種類のデータが必須であるかに関する共通の見解を確立します。

ワークショップの成果物

成果物として、ワークショップ協定であるCWA(CEN-CENELEC Workshop Agreement)が発行されます。
CWAとは、技術仕様、ガイダンス資料、およびベストプラクティスなどが盛り込まれたテキストおよびコンピューターコードの資料です。今回策定するCWAは欧州や国際標準の基礎となる可能性があります。

CWAはワークショップの終了後、1か月のパブリックコメント期間を経て、CEN/CENELECのwebで公開され、無料でダウンロード可能となります。

ワークショップのスケジュール

成果物であるCWAは、2025年7月頃に草案公開、8月頃に発行の予定です。


※CEN and CLC Workshop ‘Digital Product Passport for Printed Circuit Boards’ より引用

 

当社では、バッテリー規則ほか欧州の規制への対応をはじめ、カーボンニュートラルやサーキュラーエコノミーへのお取り組みをご支援しています。
お困りのことがありましたら、どうぞお気軽にお問い合わせください。

研究員 中村晟一朗, 山本涼子