■環境コミュニケーションのいろは
●環境コミュニケーションとは一体何をすることだと思いますか?
多くの企業が発行している環境(CSR)報告書は代表的な環境コミュニケーションの媒体ですが、それが環境コミュニケーションのすべてではありません。エコプロダクツ展などの展示会への出展も、数少ないダイレクトなコミュニケーションができる機会ですが、これも手法の一つです。
そもそも環境コミュニケーションの定義は、ISO14063や経済産業省 環境コミュニケーション事例集など、さまざまなガイドラインに定義が記載されています(*1)。興味のある方は文末をご覧ください。私なりに一言でまとめると、「ステークホルダーと発展的な関係を作るための情報交換・価値交換をすること」なのだろうと思います。
●環境コミュニケーションのポイント
そもそもコミュニケーションという言葉はラテン語のコムニスcommunisから派生したもので、「共通の」とか「共有の」といった意味を語源にもっています(*2)。ともすると企業の環境コミュニケーションは報告、訴求、説得など、一方通行に陥りやすいものです。仕事が進めにくくなるような都合の悪い意見は聞きたくない、という心情が発生するからでしょう。もちろん、多くの人に届けようとすれば、媒体を通じた発信になるのは仕方がないのですが、それでは「共通の」とか「共有の」という要素は不足します。発展的な関係を作るためには、双方向性が不可欠なのです。
では、環境コミュニケーションにどのように取組めばよいのでしょうか。ここで、私が考える環境コミュニケーションのポイントを5つ挙げます。
(1)対象:誰と
(2)目的:何のために
(3)方法:どのようなやり方で
(4)想い:どんなアイデンティティ、考え方、価値観を持って、
(5)活用:実施した結果をフィードバックする(次につなげる)
例えば、環境報告書を作成するとき、エコプロダクツ展に出展するとき、ホームページやカタログを作るときに、上記の5つのポイントをチェックしてみてください。
●環境コミュニケーションを最適化する方法
さて、ここからは環境コミュニケーションを最適化するための方法についてお話しましょう。
1)対象:誰と
一般的にステークホルダーと言えば、顧客・消費者、従業員、株主・投資家、メディア、NGO/NPO、行政、仕入先・協力企業などが挙げられますが、重要度を10点満点で割り振って、その理由を書いてみてください。また、それぞれの対象について、コミュニケーションしたい具体的な相手を想定して、さらにブレークダウンしてください。例えば、顧客・消費者の場合、それは主婦なのか、学生なのか、小学生なのか、大学生なのか。これだけでコミュニケーション最適化が半分終わったようなものです。
2)目的:何のために
コミュニケーションの目的は必ずしも明確になるとは限りません。目的がひとつではないこともよくあります。でも、最適化を目指すならあえて明文化することをお勧めします。「売上アップ」でも構いませんし、「信頼構築」や「組織の活性化」も良いでしょう。
3)方法:どのようなやり方で
ここで躓くことが多いのかもしれません。コミュニケーション手法として対社外向けに限定すると、もっとも多い手法はホームページです。次に会社案内、商品カタログと続きます。やはり広い対象をフォローしないわけにはいかないので、媒体は必須です。ただしこれだけでは落第点です。
仕入先・協力企業に対する説明・意見交換会やイベント(セミナー、シンポジウム、展示会)、地域社会等に対する説明・意見交換会などダイレクトなコミュニケーションを重視していただきたいと思います。なぜなら、媒体では「4)想い」を交換したり、"共有"することができないからです。
4)想い:どんなアイデンティティ、考え方、価値観を持って
コミュニケーションで表面に出てくる言葉や意見は、氷山の一角です。水面下にはアイデンティティ、考え方、価値観が存在しています。ところが、時代や価値観の変化は、この水面下の「想い」の部分に対して変化することを要求します。コミュニケーションにおいて、この「想い」に対するニーズをしっかりと汲み取らなければ、そもそも市場から存在意義自体を問われることになるでしょう。
5)活用:実施した結果をフィードバックする(次につなげる)
実施した結果は「2)目的」の達成具合を確認するとともに、方針や計画にフィードバックをかけて、具体的に行動を変化させていただきたいと思います。そうでなければ、垂れ流し・言いっ放し・やりっぱなしになってしまいます。
●まとめ
本気で持続可能な社会を作りたいなら、真実の情報で、嘘偽りない想いで、存在意義をかけて環境コミュニケーションをしなければならない、私はそう想います。だからといって、みんなが眉間にしわを寄せて深刻な表情をしろと言っているわけではありません。笑顔があふれる環境(CSR)報告書、笑顔があふれるダイアログ、笑顔があふれるイベントでいいと思います。
環境コミュニケーションに取組むときに、ここまで述べてきたようなポイントを参考にしていただけると幸いです。
当社では環境コミュニケーションの診断・調査、環境(CSR)報告書の制作、エコイベントの企画・運営、出前授業のプログラム作り、ステークホルダー・ダイアログなど、さまざまな環境コミュニケーションを支援・プロデュースしています。お気軽にご相談ください。
*1 環境コミュニケーションの定義
ISO14063
「環境に関する課題、側面及びパフォーマンスについて理解の共有を促進するために、情報を提供及び入手し、並びに内部及び外部の利害関係者との対話に関わる、組織が実行するプロセス」
経済産業省/環境コミュニケーション事例集 企業の赤信号を緑に変える35のアイデア
「環境コミュニケーションとは、企業や行政、市民などの各主体がさまざまな関係者(ステイクホルダー)との間で環境保全への取組や環境負荷に関する情報などについて受発信や対話を行い、持続可能な社会の構築に資すること」
*2 出典:日本大百科全書/小学館
